新たな英語教育のための改革とその背景

英語教育改革の背景

グローバル化の進展の中での英語力の重要性

急速なグローバル化の進展の中で、一人一人にとって、異文化理解や異文化コミュニケーションはますます重要になり、国際共通語である英語力の向上は日本の将来にとって極めて重要です。

東京オリンピック・パラリンピックを迎える2020(平成32)年はもとより、現在、学校で学ぶ児童生徒が卒業後に社会で活躍するであろう2050(平成62)年頃には、日本は、多文化・多言語・多民族の人たちが協調と競争する国際的な環境の中にあることが予想され、そうした中で、様々な社会的・職業的な場面において、外国語を用いたコミュニケーションを行う機会が格段に増えることが想定されます。

学習指導要領の基本方針

現行の学習指導要領の基本方針

現行の学習指導要領においても、小中高を通じて、コミュニケーション能力を育成し、「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能をバランスよく育成することを目指しています。基本的考え方や概要については、次の通りです。

●現行学習指導要領の概要

基本的考え方

○小中高を通じて、コミュニケーション能力を育成。
言語や文化に対する理解を深める
積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育成する
「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能をバランスよく育成する

○指導語彙を充実(中高を通じて 2,200語 から 3,000語 に)

Ⅰ.小学校学習指導要領(平成20年3月改訂)(平成23年度から実施)

○平成23年度より、5・6年生において、外国語活動を週1コマ導入
平成21年度及び22年度は、学校の判断により先行実施が可能。

○外国語を用いて、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成が中心

○学級担任又は外国語活動を担当する教員による実施(ネイティブ・スピーカーや外国語に堪能な地域の人々の活用や協力)

Ⅱ.中学校学習指導要領(平成20年3月改訂)(平成24年度から実施)

○各学年の授業時数を週3コマから週4コマ(約3割増)へ充実

○従前の「聞く」「話す」を重視した指導から4技能のバランスが取れた指導への改善

○指導語彙を900語から1,200語へ充実

Ⅲ.高等学校学習指導要領(平成21年3月改訂)(平成25年度から年次進行で実施)

○選択必履修から「コミュニケーション英語Ⅰ」の共通必履修に変更する等、科目構成を変更

○生徒が英語に触れる機会を充実するとともに、授業を実際のコミュニケーションの場面とするため、授業は生徒の理解の程度に応じた英語を用いて行うことを基本とすることを明示

○指導語彙を1,300語から1,800語へ充実(※)

(※)コミュニケーション英語Ⅰ、Ⅱ及びⅢを履修した場合。

例えば、文部科学省「高等学校学習指導要領解説 外国語編・英語編」(平成22年5月)によると

「コミュニケーション英語Ⅰ」、「コミュニケーション英語Ⅱ」及び「コミュニケーション英語Ⅲ」については、「特有の表現がよく使われる場面」、「生徒の身近な暮らしや社会での暮らしにかかわる場面」及び「多様な手段を通じて情報などを得る場面」の中から、生徒の発達の段階や興味・関心に応じて言語の使用場面を適宜取り上げる。その際に、聞く、話す、読む、書くの4つの技能を総合的に育成することができる言語活動となるよう、言語の使用場面とそれに応じた言語の働きを、言語材料と関連させながら組み合わせて扱う。

といったことが記載されております。

生徒の英語力に関する目標と現状

教育振興基本計画における英語力の目標

第2期教育振興基本計画(平成25年6月14日閣議決定)による英語力の目標は以下の通りです。

○中学校卒業段階 :初歩的な英語を聞いたり読んだりして話し手や書き手の意向などを理解したり、初歩的な英語を用いて自分の考えなどを話したり書いたりすることができる。(英検であれば3級程度以上)

○高等学校卒業段階:英語を通じて、情報や考えなどを的確に理解したり適切に伝えたりすることができる。(英検であれば準2級~2級程度以上)

英語力の現状

目標としている英語力を達成している生徒は公立中学3年生で約32%、公立高校3年生で約31%となっています。

高等学校・大学の英語力の評価及び入学者選抜の改善

入学者選抜における4技能のコミュニケーション能力の評価

一方、現在の大学入学者選抜において、4技能全てを測定する試験はほとんど行われていません。
そのため学校の授業において、4技能のバランスが取れた指導を行いづらい状況があります。

【図】入学者選抜における4技能のコミュニケーション能力の評価

実際の学校の授業で行われている学習内容

【図】実際の学校の授業で行われている学習内容

4技能を測定する資格・検定試験の活用

公益財団法人 日本英語検定協会実施の「全国の主要国公私立大学の入試関係者100名に大学入試についての緊急調査」によると、「大学入学者選抜について4技能を測定すべきと思う」と回答した人は66%になりました。一方で、「大学が独自で4技能を測定する試験を実施することは実現可能だと思う」と回答したのは11%にとどまり、4技能は測定すべきと思うが、独自で実施することは難しいという意見が多くを占めました。

【図】全国の主要国公私立大学の入試関係者100名に大学入試についての緊急調査:4技能を測定すべき66%/独自で実施が可能11%

また、文部科学省も、大学入試を実施する上でのガイドラインとして毎年度、大学に通知している「大学入学者選抜実施要項」において、「平成27年度大学入学者選抜実施要項」からは、語学の資格・検定試験については、4技能を測ることのできる資格・検定試験を推奨しています。

平成27年度大学入学者選抜実施要項(平成26年5月28日付け)

4.資格・検定試験等の成績の活用
(1)-①入学志望者の外国語におけるコミュニケーション能力を適切に評価する観点から、実用英語技能検定(英検)やTOEFL等、「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能を測ることのできる資格・検定試験等の結果等を活用する。

しかしながら、資格・検定試験を活用している事例は、大学入学者選抜では740校中265校(平成25年度大学入学者選抜)、高等学校入学者選抜では国立2校、公立の高等学校では現時点までは存在しないという状況です。

平成25年度大学入学者選抜における資格・検定の試験の活用状況

【図】平成25年度大学入学者選抜における資格・検定の試験の活用状況

※下段はそれぞれの区分ごとの大学数(国立:82校、公立:81校、私立:577校、計:740校)に対する割合

平成25年度高等学校入試における資格・検定試験の活用状況

【図】平成25年度高等学校入試における資格・検定試験の活用状況

連絡協議会の設置及び取組内容

これらの現状を鑑み、文部科学省の 「英語教育の在り方に関する有識者会議」報告書(平成26年9月26日)において、各大学の入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)との整合性を図ることを前提に、入学者選抜において、英語力を測定する資格・検定試験のうち4技能を適切に測定する試験の活用が奨励されるべきとの提言がありました。
加えて、生徒の4技能の英語力の測定及び学習状況に関する現状・課題を把握・分析し、それらの結果を活用することにより、教員の指導改善、生徒の英語力を向上に生かすことにつなげることが必要です。
そのため、学校、テスト理論等の専門家、資格・試験関係団体等からなる協議会を設置し、
・適切な資格・検定試験の情報提供、
・指針づくり
(学習指導要領との関係、評価の妥当性、換算方法、受験料・場所、適正/ 公正な実施体制等)、
・試験間の検証、英語問題の調査・分析・情報提供等の取組

等を早急に進める必要があります。

(指針の項目例)
・学習指導要領に沿った4技能の能力との親和性と測定可能性
・評価の妥当性(語彙レベル、目標言語使用領域、出題意図等)
・多様な生徒・学生の能力への適合性
・妥当な換算方法(例:みなし満点、点数換算等)
・受験のしやすさ(経済的状況に配慮した受験料、地域バランスに配慮した実施体制、受験回数等)
・適正・公正な試験実施体制(試験監督、情報管理等)
・国際的な通用性 等

また、大学入試センター試験に代わる 「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の具体的な検討を行う際には、上記の協議会の取組を参考に英語の資格・検定試験の活用の在り方も含め検討を行う予定です。

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