大学入学者選抜制度 先進的な取り組み事例

【写真】関西学院大学

求められる学力のありかたが変わる今、
教育の質を保つためにできることは何か、を追求し続けます。

関西学院大学では、高大連携を積極的に進めるとともに、2016年度から、センター試験利用入試に、英語4技能の資格・検定試験を活用した試験を導入します。
これらは大学改革の一環であるとともに、日本の大学生が世界的競争の中で勝ち抜かなければならない時代に、大学としての使命を果たす施策でもあります。

高大連携を積極的に推進、新時代に対応した大学へと変えていきます。

関西学院大学は、大学教育の改革の一環として、2015年には従来の「入試部」を、「高大接続センター」に改組、高校教育と大学教育の円滑な連携をめざしています。

【写真】村田治 学長

村田治 学長

本学では以前から高校の授業の変化に注目してきました。きっかけの一つは国内のグローバル大学が一同に集結する博覧会Go Global Japan Expo (文部科学省、全国42大学など主催)を本学のキャンパスで開催したことです。これに先立ち、関係者の来場を促進するため、スーパーグローバルハイスクール(SGH)、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)、グローバル10などに認定された高校30数校を訪問しました。

そこでわかったのは、こうしたグローバル対応に熱心な上位校では、学習の仕方が大きく進化していること。アクティブ・ラーニングに力を入れ、課題研究が盛んになっています。中には研究結果について英語でディスカッションする高校もありました。

本学はこうした優秀な高校生をより成長させることのできる大学になる必要があると思いました。また、本学では大阪府教育委員会の協定に基づき、SGHレベルの高校生と、ラーニングパスや学習のありかたなどについての研究を進めてきたこともあって、高校、大学を総合的に連携する事業に取りかかりました。そこに文部科学省の「高大接続再生実行プラン」が出てきたことで、予定より早く「高大接続センター」を始動させ、高大連携事業を進めています。例えば、SGH校に対し、本学の外国人教員が、英語で、課題研究に関する専門授業をするなどの支援もしています。

就職やビジネスで世界の大学生と競争する時代。
「入試に4技能の資格・検定試験導入は当然」と考えます。

高大連携と並行して進めたのが入試改革です。これらはグローバル化時代を迎えた大学の教育改革を行ううえで欠かせないものです。入試改革には大きく二つの面があります。

一つは、課題研究など、能動的(アクティブ)な学習で能力を培った生徒に対し、多面的、総合的な評価を行う入試。例えばSGH、SSHなどからの公募推薦入試の拡充を行います。そのねらいは受験テクニックに精通した学生でなく、本質的な思考力のある学生を集めること。大学に入学してから、また社会に出てから伸びる学生は、そうした学生だと考えるからです。

もう一つは、4技能の資格・検定試験の導入です。こちらは2016年度の大学入試センター試験利用の入試から導入予定。採用した資格試験(合格スコア)は、ケンブリッジ英検(FCE)、英検(準1級以上)、GTEC CBT(1250以上)、IELTS(5.5以上)、TEAP(334以上)、TOEFL iBT(72以上)、TOEIC&TOEIC SW(1095以上)の7種類。これの合格スコアはCEFRのB2以上を目安としています。

この選定の背景には高校や指導する教師によって、資格試験に対する好みや考え方(活用方法)に違いがあるため、多様な応募者を集めるには、ある程度、多種類の資格試験を選ぶことが必要との考えです。

4技能の資格・検定試験が、なぜ必要なのでしょうか。それはコミュニケーション力が求められているからです。

しばしば日本での英語教育は10年かけても生徒に十分な運用力がつかないと言われます。「読む」と「書く」はともかく、4技能の中でも特に「聞く」、「話す」技能が弱いというのが実際です。

これからの学生は、大学を卒業した後、世界中の人材と競争し、あるいは協力して仕事をしなければなりません。特にこれからの大学はグローバルなレベルでのemployability(就職力)を問われる時代に入ります。

そこでは英語の高いコミュニケーション力が欠かせません。それにはコンピテンシーだけでなく、スキルとしての英語4技能が必要なのです。

4技能を求めることは、本学の建学の精神から言っても自然な流れ。

関西学院大学創立者のW.R.ランパス先生は医療伝道師として活躍された方で、真の「世界市民」です。第四代院長のC.J.L.ベーツ先生は、「Mastery for Service(奉仕のための練達)」を唱えられました。今、本学は「“Mastery for Service”(奉仕のための練達)を体現する世界市民を育てる」ことを目標に掲げています。

その具体的な表れの一つに、国連との連携があります。「国連ユース・ボランティア」の基幹校として学生を海外派遣するほか、国連をはじめとする国際機関への就業を希望する学生のための「国連セミナー」を開催しています。2017年からは大学院共同プログラム「国連・外交コース」、学部生向けの副専攻プログラム「国連・外交プログラム」の開設を予定しています。

また本学はビジネス界に数多くの人材を送り出していますが、本学出身者には、利益の追求だけでなく、世界人類のために貢献するというプロテスタント的な理念が根付いていると思います。
世界で競争し、同時に世界に貢献する。そうした人材を育てるにも、英語の4技能は必須と言えるのです。

オープンかつ、一人ひとりの学生を大切に育てる気風が
グローバル対応の基礎になっています。

本学の高大連携や入試改革の礎には、校風や歴史があります。4技能・資格試験の導入のやり方は、その大学がグローバル化をどのようにとらえるかによって変わってくると思います。

本学はキリスト教主義教育を基本とし、自由な校風を持ち、一人ひとりの学生を大切にし、教育の質を確保してきました。それは1970年代から始めた学際プログラム、少人数プログラム、オープンセミナー、授業評価などからも理解できるでしょう。

グローバル対応も早く、国連との連携は20年以上前からです。2011年には本学がカナダの大学と連携して設計した「Cross - Cultural College(日加大学恊働・世界市民リーダーズ育成プログラム) 」が文部科学省の「大学の世界展開力強化事業」に採択され、2013年には本学のグローバル人材育成構想が、同省の「グローバル人材育成支援事業」に採択されました。さらに2014年には「スーパーグローバル大学創成支援(グローバル化けん引型)」に採択されました。

英語教育には早くから力を入れ、全学共通の英語教育コースを強化してきました。2015年からは、4技能のレベルアップをはかるオールイングリッシュの「英語インテンシブ・プログラム」を始動させました。

また、今後、4技能の資格・検定試験に対応して指導できる教員がもっと必要になることを考え、2015年8月には言語教育研究センターにおいて、高校の英語教員のための研修を行う予定です。

こうした校風やこれまでの取り組みのおかげもあって、入試への4技能・資格検定試験の導入はスムーズに進んだと思います。
しかしながら、本学のやり方がどの大学にも通用するとは思いません。
4技能の資格・検定試験を導入する場合、各大学が、それぞれの特色や役割との関係を考えながら実行する必要があるでしょう。特に各大学がグローバル化をどのように考え、対応するかによって、入試改革のやり方は変わってくると考えます。

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