授業等活用事例

【写真】佼成学園女子中学高等学校

英検の活用によって、英語力を一段と高めるとともに、
学習意欲、共感力を育てています。

佼成学園女子中学高等学校(東京・世田谷区)は、10数年ほど前、生徒数の減少、偏差値の伸び悩みに苦しんでいました。局面を打開したのが英検です。同校では英検受験を学校行事の一つに位置づけ、全学で取り組むことで、通常の授業だけではできない英語力向上、学習意欲や連帯意識を育て、学校全体を大きく変えることに成功しました。

英検を鍵に、英語教育を改革

少子化の進む中、10数年前、佼成学園女子中学高等学校では、生徒数の減少、偏差値の伸び悩みが大きな課題となっていましたが、その解決の鍵と考えたのが英語教育の充実でした。

【写真】江川昭夫 教頭

江川昭夫 教頭

同校では、中学では音楽や美術をネイティブ教員から学ぶイマージョン教育を実施、高校では短期(イギリス)、長期(ニュージーランド)の海外留学などの制度も用意しました。しかし学校全体の英語力の底上げという全体の成果にはなかなか結びつきませんでした。

また多くの私立女子校が英語教育を強調しているため、その中での差別化がむずかしいという現実もありました。いかにして生徒たちの英語力を高め、学校としての魅力にしていくかは依然、大きなテーマでした。

試行錯誤した結果、たどりついたのが英検の活用です。「英検を当校生徒の英語力の一つのスタンダードと位置づけ、学校全体で取り組もうと考えました」と語るのは、この取り組みの中心となった江川昭夫先生。それが「英検まつり」という同校独自の行事に結実しました。

「英検まつり」は、6月、10月に全校をあげて英検受験をするイベントです(このほか1月に希望者のみの受験を実施しています)。体育祭のように、英検合格をめざし、クラス対抗戦の形で競い合います。

初心者から上級者まで力を試せる英検

力に応じて7つの級に分けられ、段階的にチャレンジできる英検は、
中学・高校を通じた継続的な英語学習に適しています。またスコアでなく、
級の獲得をめざす形式がモチベーションを高めます。

ではなぜ、さまざまな資格試験がある中で、英検に注目したのでしょうか。その理由としては以下があげられます。

(1)
英検は5級から1級まで7段階あり、英語学習のビギナーから上級者まで受けることができる。
佼成学園女子中学高等学校は中高一貫校なので、継続的なチャレンジもしやすい。
(2)
スコアだけを示すタイプの資格試験では、スコアが下がるとモチベーションも下がってしまうことがあるが、級であれば獲得できる(保持できる)ことがモチベーションにつながる。さらにクラス全員で級をめざすことは一体感にもつながる。
(3)
英語の4技能をバランスよく育てることができる。

「問題形式から見ると、英検では下位級は出題が日本語なので、中学で英語を学び始めたばかりの生徒でも受験が可能です。また現在の大学受験の英語との親和性も魅力でした。副次的には、生徒の両親の世代も学校で英検受験を経験していますから、安心感もあったと思います」(江川先生)。

行事化が、団体戦の楽しさを創る

佼成学園女子中学高等学校のユニークさは、英検受験を学校全体で取り組む「行事」にしたことです。同校にはもともと「行事が人をつくる」という理念があり、これと英検受験がつながったと言えます。

担任教員がクラスごとに工夫を凝らして生徒を励まします。

担任教員がクラスごとに工夫を凝らして生徒を励まします。

同校には体育祭「スポーツフェスタ」(5月)、文化祭「乙女祭」(9月)、合唱コンクール(1月)などの行事があります。英検まつり(6月、10月)は、これらの行事や中間試験・期末試験と重ならない形で、年間スケジュールの中に位置づけることができました。

また英検受験が英語科の専任事項ではなく、学校全体の行事となったことで、教務部や英語科以外の教諭の協力を得ることができるようになりました。

「英語の先生は合格に向けた指導には力を入れますが、出願事務などは教務部に任せています。
これは英語教師の負担を減らし、行事の運営上、非常に効果的でした」
(江川先生)。

英語を得意にすることが、大学受験の実績にも波及

クラス対抗でテスト結果を競い合う、進捗状況をグラフ化して貼り出すなど、生徒全員が英検合格に向けて楽しみながら学びます、それは英語だけでなく、他教科の成績アップにもつながっていきます。

「英検まつり」にともなう学習活動としては以下があげられます。

(1)
英検の2週間前から、毎朝25分間の英単語・英熟語の暗記テスト(1枚20問からなる)で合格枚数を競い合う。
(2)
テスト結果をグラフにし、「見える化」してモチベーションアップにつなげる。「個人進捗度グラフ」をクラスの壁に、また「クラス別進捗度グラフ」を廊下に貼り出す。
各教室の黒板や廊下には、クラスごとの「英単語・英熟語シートの達成数」を貼り出し、上位クラスにはごほうびもあります。このように楽しみながらチャレンジする工夫が、「英検まつり」の特長です。

各教室の黒板や廊下には、クラスごとの「英単語・英熟語シートの達成数」を貼り出し、上位クラスにはごほうびもあります。
このように楽しみながらチャレンジする工夫が、「英検まつり」の特長です。

(3)
各クラスの担任・副担任が応援する。具体的にはクラスの目標を決める、学習結果に対してコメントするなど、担任ごとの工夫が可能である(このように英語教師ではなくても英検へのチャレンジを応援できる全学体制ができている)。
(4)
放課後の1〜2時間、級別の英検対策講座(級別スポット講座)を実施。
(5)
通常の英語授業の中で、適宜、英検対策を指導する。

「英検まつり」は回を重ね、効果を発揮していきました。それは大きく、英語力、一体感・学習意欲、大学受験実績に表れています。

英語力:英検の合格実績(2014年度)

<中学校>
全生徒141名の62%以上3級以上を取得

【図】英検の合格実績(2014年度・中学校)

<高等学校>
全生徒602名の55%以上準2級以上を取得

【図】英検の合格実績(2014年度・高等学校)

一体感・学習意欲

  • ○クラス対抗戦をするので、全員で何かを達成する喜びを知り、団結心や協調性が育まれる。
  • ○小さなハードルを越える成功体験を重ね、大きな結果を得ることが学習意欲につながる。
  • ○上の級を持つ生徒が、下の級の生徒を教えるなど、他者への共感力が育まれる。
  • ○受験が「団体戦」となり、実力を発揮しやすくなる(「同級生ががんばっているのだから私もがんばろう」といった心理的な励まし合い効果もある。これは特に女子生徒の場合に効果的と考えられる)。

大学受験実績:2015年3月卒業生(全1)の進学実績

偏差値も上昇、大学受験における実績も高まった。これは小さな成功体験による学習意欲の促進と、英語が得意科目になることで、他の学科の成績も伸びるという「学習の転移(transfer of learning)」が起こったことが大きいと考えられる。

【図】大学受験実績

英検をテコにした英語力向上もあって、2015年に佼成学園女子中学高等学校は、スーパーグローバルハイスクール(SGH)に指定されました。

これによって、同校は今、『英語の佼成』から『グローバルの佼成』へと、国際的な可能性を広げ、レベルを高めようとしています。今後は、英検と他の資格試験とのリンク、CEFR基準なども意識しながら、さらに英語教育を強化していく予定です。

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