授業等活用事例

【写真】北海道釧路江南高等学校

「英語運用力」を高める4技能統合型の授業実践と、生徒の英語力の多面的な把握めざし工夫

北海道釧路江南高等学校(以下、釧路江南高校)は、道内外の国公立大学、私立大学へ卒業生を多数輩出する進学校です。2014年度より教育課程研究指定校事業(外国語)に指定され、4技能の総合的なコミュニケーション能力を育成するための研究を行っています。

新教育課程を契機に4技能統合型の指導をブラッシュアップ

スピーキングは、それだけに特化せず、あくまでも本文を理解する活動の中に据え、ペアやグループ学習など、やりとりを通じて反復していく過程のなかで取り入れている。

スピーキングも含めた4技能統合型の指導は新教育課程をきっかけにスタートしました。2014年度から、文科省の教育課程研究指定事業を受けたため、「コミュニケーション英語Ⅰ・Ⅱ」「英語表現Ⅰ・Ⅱ」における4技能の総合的なコミュニケーション能力を育成するための、「CAN-DOリスト」の形での学習到達目標の設定、および指導と評価における活用方法に関する研究に取り組んでいます。また、スピーキングの指導、パフォーマンステスト評価の実施などにも取り組んでいます。

授業において教師が常に「オールイングリッシュ」であることに、必ずしもこだわっているわけではありません。文法事項などは日本語で説明するほうが効果的な場合もあります。スピーキングは、あくまでも本文を理解する活動のなかに据え、ペア学習など、やりとりを通じて反復していく過程のなかで取り入れています。ゴールだけではなくプロセスとしても導入する、それが新教育課程でいう「言語活動の充実」だと考えています。

スピーキング活動をゴールにする授業は「なんとなく通じた」だけで形に残らず、なにを理解しできるようになったかわかりにくいのが課題です。そのため、形としてはライティングで正確にアウトプットできることに主眼を置いています。「正確に書けること」のためには文法・語彙が必要ですし、GTEC for STUDENTSのエッセーライティングのように、短時間で、多くの量を、論理的に書くスキルを評価してもらえるのは非常によい機会だと思います。

生徒の活動量は増やしながら、インプットの量を維持する工夫

「センター試験 第6問」などの長文を読む音読活動が、リスニング力と発音力の向上につながった。

新教育課程では、おのずと「教員が話す」時間は少なくなり「生徒が英語で活動する」時間が増えるはずです。情報をインプットするときにもコミュニケーション活動が求められるからです。しかし、インプットしなければならない「量」は変わらないため、それを維持するバランス感覚が必要です。活動量だけ増やして、授業満足度は上がっても、英語のスコアは下がったとならないような工夫が必要です。インプットの量を補うためにも、授業外の部分もとても大事になってきていると感じています。

昨年度の卒業生からは、1年生から3年生まで継続して長文の音読活動を続けたため「センター試験 第6問」などの長文を読むスピードが速くなったという声を聞くようになりました。音読活動は、文法、語法の理解にもつながっていますので、問題を見た瞬間にわかるようになります。直感的にレスポンスできることは、コミュニケーションの上ではとても大事です。

あとは、リスニング力が格段に上がりました。正しいリズム、音のリンキング、内容を意識して音読させます。発音を大事にして音読させると、聞く力が発達して、リスニングができるようになります。意味がわかる、かたまりがわかる、それで正しく発音できるようになります。

発音力は大きな要素です。以前は、発音・発音記号などは、あまり重視していませんでしたが、リスニングをさせると、発音の重要性を痛感します。正しく発音できないものは聞けないし、聞けないものは、もちろん話せません。音読活動を通して、リスニングはもちろん、リーディング・ライティングへの効果も期待できると考えています。

GTEC for STUDENTSと模擬試験を活用して、生徒の英語力を「面」で把握

基礎はあるのにすばやい反応が苦手なのか、発話の瞬発力はあるが文法・語彙の基礎がないのか、ふたつの模試のスコアを組み合わせると、その生徒にあった指導が見えてくる。

生徒のGTEC for STUDENTSのスコアと進研模試の偏差値を縦軸と横軸に取って、平均値でそれぞれ二分し、2軸の観点を用意して4つの領域で分析しています。英語学習のタイプ・傾向を判断し、学習アドバイスをおこなったり、習熟度別授業のクラス編成に活用したりしました。4つの領域を、「学力型」、「コミュニケーション型」、「バランス型」などとタイプ別に分析しています。

「学力型=模試○、GTEC for STUDENTS✕」の生徒は、じっくり考えるのが好きです。しかし、タイムコントロールされる中で多くの情報を処理するのが苦手であったり、ライティングをする際にアイデアがすぐ出てこなかったり、発信が苦手な場合があります。その傾向を生徒に自覚させた上で、授業中のタイムコントロールも大切にしています。

「コミュニケーション型=模試✕、GTEC for STUDENTS○」の生徒は、フィーリング型です。英語の高い能力があるのに地道な学習で基礎・基本、つまり「根拠」を身に付けることが苦手な場合があります。このような生徒には、正確なインプット、正確なアウトプットを意識させながら指導します。

高校3年生では、GTEC for STUDENTS と6月マーク(英語)の成績を比較して大きなスコアのギャップがある生徒を探します。その生徒をピックアップして、担任に声掛けしたり、廊下などですれ違った際に、学習状況などをヒアリングしたりします。スコアだけでなく、どのように取り組んでいるか、ちゃんと力を発揮できたかどうかも把握しなければ、生徒の可能性は見いだすことはできません。

特に、高校3年生の7月に受験するGTEC for STUDENTS は、生徒の背中を押す材料になります。GTEC for STUDENTSは絶対評価のため、頑張った分だけ成果にあらわれます。 3年生の模試の結果が悪くても、GTEC for STUDENTSで高スコアの生徒は可能性を秘めています。各大学の合否追跡データ、センター試験との相関データなどをもとに声掛けをしています。

大学受験は通過点。自分の意思を世界に発信できる人材育成

生徒たちには、英語発信力を身に付けて世界を自分の目で見て、感じて、いつか釧路に帰ってきてほしい。

本校は進学校ですので、大学入試の突破はもちろんですが「自分の意思をもって、それを世界に発信できる生徒」を育てたいと考えています。受験英語ができても、英語で意思を伝えられない、話せないとなったら、高校3年間トレーニングしてきた意味がありません。
釧路は経済的にも厳しい町になっています。だからこそ、世界を自分の目で見て、感じて、いつか釧路に帰ってきてくれる生徒を育てたいと考えています。

■GTEC for STUDENTS 過去5年間の成績

【図】GTEC for STUDENTS 過去5年間の成績
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