スーパーグローバル大学/ハイスクール導入事例

【写真】徳島県立城東高等学校

注力してきたキャリア教育に
グローバル教育を組み込み、発展させました。

徳島県立城東高等学校(以下城東高校)は、110年以上の歴史を誇ります。社会のリーダーを育てることを意識し、生徒が主体的に職業や進路を考えることを重視し、それをカリキュラムにも反映させてきました。スーパーグローバルハイスクール(SGH)の申請に当たってはこの特色を生かし、地元企業とも連携、グローバルリーダーの育成をめざすプログラムを策定しました。

100周年を機に進めた高校の独自性追求が、SGHへとつながりました

約10年ほど前から城東高校では、QUEST(クエスト)と名付けた「総合的な学習の時間」に、
学外活動を含む多彩なキャリア教育を行ってきました。
SGH構想ではこの時間を中心に「スーパーグローバルプログラム」を組み込み、
充実、発展をはかりました。

【写真】尾崎好秋 校長

尾崎好秋 校長

徳島県では30年余りに渡り、徳島市内の普通科高校が総合選抜制度を取っていましたが、10年ほど前にこれを廃止、各高校が個性を打ち出し、差別化する方向へと転じました。ちょうどこの頃、当校は100周年を迎え、校舎が新築されるとともに制服を刷新し、カリキュラムも独自性のあるものに変革しました。

その大きな特色が1年から3年まで続くキャリア教育です。
これはQUESTと名付けられ、「総合的な学習の時間」に行っています。
将来の職業や進路を生徒が主体的に考え、判断できるようにするため、自己理解や職業観を養うもので、具体的には、オープニングセミナーから始まり、企業での研修、職業ガイダンス参加、徳島大学の公開講座への参加、東京大学や京都大学のオープンキャンパスへの参加、課題研究(2年次に班別にテーマを設定して1年間研究する)などがあります。

SGH構想ではこの土台に、新たに「スーパーグローバルプログラム」を組み込みました。

当校がSGHで掲げた研究のテーマは、「四国徳島発・グローバル企業の創造戦略について」。地元のグローバル企業である大塚製薬や日亜化学工業が、地方に拠点を置く企業でありながら、グローバリゼーションに成功していることから、そのグローカルな活動の意図や戦略を探ることで、グローバルリーダーに必要な資質を見出そうとするものです。「スーパーグローバルプログラム」はこの研究テーマを意識して策定したものです。

地元企業や大学の協力も得て、プログラムを構築しました

スーパーグローバルプログラムは、
◆国際協調、国際貢献に必要な国際的素養を習得する
◆国際課題を探究する態度やコミュニケーション能力と問題解決力を育成する
◆自己を相対化することで多様な価値観を育成する
◆論文作成能力、プレゼンテーション能力を育成する
という四つの目的を掲げています。

【写真】片山真樹 教頭

片山真樹 教頭

プログラムの内容は大きく、「スーパーグローバル講座」と「グローバルリーダー育成メソッド」からなります。

「スーパーグローバル講座」にはacademicとprofessionalの二種類があり、academicは、大阪大学大学院国際公共政策研究科、徳島大学国際センターと連携して実施。

例えば2014年は、徳島大学国際センターの坂田浩准教授による「異文化交流のためのワークショップ」(1、2年生を対象)、大阪大学大学院国際公共政策研究科の松繁寿和教授による講演会「グローバル化する社会で高校生に求められる力とは」(1年生を対象)などを開催しました。また大学のゼミへの参加、「Go Global Japan Expo 2014」 への参加なども行いました。

professionalでは、大塚製薬や日亜化学工業と連携し、企業見学、海外勤務経験者による講演などを実施しています。ここでは企業が行うCSR活動についても学んでいます。

グローバルリーダー育成メソッドには、Ⅰ(in school)、Ⅱ(home)、Ⅲ(abroad)の三種類を用意しました。

グローバルリーダー育成メソッドⅠ(in school)

教育課程での授業(「Global Health」、「グローバルリーダー論」など)、留学生との交流、英検などによる語学力養成です。

グローバルリーダー育成メソッドⅡ(home)

省庁や国際機関(FAO、JICAなど)を訪問し、学習するものです。

グローバルリーダー育成メソッドⅢ(abroad)

海外を訪問しての調査・研究です。姉妹校サン・ジョセフ校のあるフランス・ルアーブル市を訪問したほか、現在、大塚製薬のインドネシア拠点でのインターンシップも検討中です。

これらのプログラムを通して身に付けた国際的素養やそこから生まれる課題意識をベースとして、生徒達は課題研究に取り組んでいきます。

フランスのサン・ジョセフ校との交流が、生徒の成長を促しています

SGH構想以前から当校が続けてきた国際的な取り組みに、フランスのルアーブル市にあるサン・ジョセフ校との交流があります。
フランスの高校生たちが当校の生徒宅にホームステイし、共に学んだり、当校の生徒がフランスを訪問したりすることで異文化を直接学んでいます。

フランスのサン・ジョセフ校は世界各国の高校との交流に熱心な学校で、日本語を外国語の選択科目として持っています。当校とは15年以上前から交流が始まり、姉妹校となりました。

以来、一年おきに相互にサン・ジョセフ校の生徒と当校の生徒が、来訪しあって各お宅にホームステイし、共に学ぶという交流活動を行っています。2014年10月には、サン・ジョセフ校の生徒23人、引率教員2名を迎えました。

当校生徒と共に授業や部活動を行い、書道、茶道、百人一首、巻き寿司作りなどの日本文化体験をするほか、京都での研修旅行も行いました。

SGHになったのを機に当校は、この交流活動をグローバルリーダー育成メソッドの一つに位置づけ、内容を一層充実させました。今回は日本とフランスの教育制度の違いについて、ディスカッションや発表を行いました。

この交流によって、わずか二週間で生徒の顔つきまで変わるほど、当校の生徒たちも、驚くほど急速に成長します。サン・ジョセフ校の生徒は人種も宗教もさまざまであり、イエス・ノーをはっきりさせ、個人の意見を明確に出します。生徒たちはこうした異文化に触れ、さまざまな発見をし、刺激を受けます。またフランスの生徒の目を通して、日本の文化を再認識する効果もあります。

交流での使用言語は英語なので、英語が国際共通語であることを実感する機会となります。生徒にとって、つたない英語であっても意思や心が通じあい、わかりあう貴重な体験となっています。

英語を運用する機会が増え、英語力の必要を感じる生徒が増えています

SGHのさまざまな取り組みはまだ始まったばかりですが、英語学習にも影響しています。
英語を使う機会が増え、生徒は英語力の必要をより意識するようになりました。
同時に異なる国の生徒とともに英語を使いながら学ぶことは、課題解決能力の向上にもつながっています。

生徒たちはスーパーグローバル講座で、さまざまな側面からグローバル化の実状を知ります。大塚製薬のインドネシア現地法人のインドネシア人社員の方々に講演していただいたときは、講演も質疑応答も英語で行いました。さらにサン・ジョセフ校の生徒とは、日常生活の中でも常に英語でのやりとりが続きました。現在、インドネシアでのインターンシップを検討中ですが、通訳を通して活動するような形では意味がないので、「話すこと」「書くこと」など英語で発信する力を伸ばすため、学校全体で授業改善に取り組む必要があります。

このように英語を使う機会が多くなったことで、英語力の必要性を強く感じる生徒は確実に増えました。のみならず、その前提となる「世界を理解しようとする姿勢」の大切さを感じていると思います。

さらにフランスの高校生と英語を使い、共に学ぶ中で、生徒たちは、いろいろな形で助け合いながらコミュニケーションをすること、協力して課題を解決することの重要性にも気づいています。

SGHを機に、英語の授業では、時事英語、国際問題に関するトピックを取り上げることが増えました。また4技能をバランス良く育成しようと考えています。今は英検、TOEICなどさまざまな英語技能検定がありますから、活用して生徒の英語力を測定したいと考えていますが、徳島県内で受験できる資格試験は限られているのが悩みです。

SGHは現在の1年生(新2年生)がスタートですから、成果を見つつ、今後、より充実した内容にしていく予定です。

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